電子取引に関する保存義務(令和6年1月1日より)

(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
第七条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない

 

12月まで猶予期間だったのだが、1月からは待ったなしになる。

 

電子取引って何ですか

電帳法2条の一部を抜粋する。

 

六 電子取引 取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。

 

このように、電子取引の定義は、「取引情報の授受が電磁的方式」である取引という整理がなされている。

電帳法通達では、例として次の4つを掲げている。

(1)EDI取引

(2)インターネット等による取引

(3)電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む。)

(4)インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引

 

*EDI=Electronic Data Interchange

EDIは、大手のサプライチェーンに属する業者の場合にみられる電子的な受発注システムなどが相当する。これに似た形態が(4)で、サイトの中で取引が完結し、ログインすれば過去の取引履歴などが見えるが、特に意識をしていないとエビデンスが残らなくなってしまう。アマゾンは履歴がいつまでも残っているようだが、ヤフオクは数か月すると過去の履歴が消される仕様になっているようである。

(2)は、お店のメタバース店で買い物をしたりする場合だろうか。この場合には納品書が紙で届いたり、代引きしたり請求書で振り込みをしたり、旧来の紙情報が併用されているので、必要な書類がどれか、電子データの保存が必要かどうか、意識的にチェックしよう。

(3)は、通常の取引について、LINE上で書類をやり取りしたり、メールで書類をやり取りしたりするようなケースが典型例だ。FAXで書類をもらってみたり、メールで送ってもらってみたり、郵便で送ってもらってみたり、同じ取引について書類が複数あることもあるが、どれが正式なオリジナルなのかをしっかりと意識してみよう。

オリジナルが紙ということであれば、電子保存が必要にはならず、紙保存で足りるのである。例外として、紙に記載された内容が不十分で、電子データが補完的な内容を記録している場合、両方保管しなければならない羽目になる。

 

「取引」というと、通常は二社以上の主体によりなされる契約を想定すると思うが、「取引情報の授受が電子的に行われる取引」のすべてを電子取引としていることから、電子取引の中には種々様々なものが入ってくる可能性がある。「取引」とは法文上の定義はないが、「資産負債資本に影響がある一切の取引」という文言からは、会計的な仕訳が発生することをすべて含むと思われる。会計学大辞典によれば、取引とは、会計用語としては資産負債資本に影響を及ぼす事実を取引ということであるから、用語として問題はない。

 そうだとすると、逆に仕訳が発生しない取引は電子取引にはなりえないのかという疑問が出てくる。例えば、賃貸借契約を締結しただけでは敷金や手数料などを除き、表面上何の仕訳も発生しないわけだが、だから賃貸借契約は電子取引にはなりえないのか?という疑義が生ずる。しかし、敷金設定は賃貸借契約の従たる契約であるし、貸主には貸す義務が、借主には賃料を払う義務などが発生する契約の束であるとも考えうる。単純な「建物」が「賃貸用建物」に変化するとか、敷金を請求する権利が発生するとか、前家賃を支払う義務があるとか、仕訳がこのように紐づいて発生する可能性があるということで、やはり賃貸借契約も電子取引にはなる可能性があるというべきであろう。

 同様の考え方で、継続基本契約も個別契約と併せて電子取引になるというべきであろう。もともとの契約自体が紙ベースであったとしても、当事者、契約の目的、単価、金額、日付などの取引情報がメールなどでやり取りされていれば、契約全体が電子取引ということになり、メールの内容が電子的に保存されなければならないということになる。紙で存在している契約書までPDFにしなければならないということではないので、誤解のないように。

 

納品情報が電子的に送られた場合、納品自体は事実行為であり、その納品という事実に基づき反対給付を受ける権利義務が反射的に発生して売掛金や買掛金を発生させる。役務提供の完了も同じだ。この場合、納品も役務提供の完了もいわゆる「取引」ではないのであるが、ベースとなっている契約が電子的な納品情報の発生により電子取引というレッテルが貼られることになるため、この電子納品書は保存の対象となるということになる。

 

また、保険契約の場合を考えると、契約自体は紙であったり、電子であったりするだろうが、保険事故の発生に関する情報が電子的に授受されれば、保険事故の発生により保険金の給付という契約上の権利義務が発生する際にはその情報は電子取引のエビデンスとして保存しなければならないということになろう。

電子取引の定義が情報授受の方法からなされているため、かなりの広範囲なエビデンスの電子的保存が要求されていると見える。

 

令和6年1月1日から何が変わるのか。

取引情報を電子的に授受することで電子取引となるのであるから、1月1日以後に受け取った電子的なエビデンスはすべて保存の対象となるものと言わざるを得ない。

インボイス制度の際は、9月30日に納品があって、請求書が10月1日に発行されたとしてもインボイス制度の対象とならないとされた。しかし、今回は、電子データの授受が1月1日以後であれば、そのデータに関連する取引は電子取引なのであるから、仮に取引の基礎自体が年末以前になされていたとしても、電子データとして保存しなければならないということになる。


電磁的記録の保存とは

保存場所へのデータ格納

見読可能装置の備付等

検索機能の確保又は電磁的記録控簿

タイムスタンプまたは事務処理規定


令和6年1月1日以後、基準期間の売上高が5000万円以下である場合又は電磁的記録控簿を作成しておけば検索機能の設定が不要となる。新規則4条

①パソコンがあって、②電磁的記録の控えを綴り、③改ざん防止の事務処理規定を実行しつつ、④データを保存していれば、保存要件を満たすのである。あとは、出せと言われたものをちゃんと出すだけ。

 

真実性☛ 嘘つかんよ、と事務処理規程に書く。

可視性☛ 紙で印刷しておく。

 

何言うとるんかわからんわ、という声が聞こえてきそうだ。

 

「兄ちゃん、紙で印刷したらあかんと言う話やなかったんか?」

「紙で印刷しておいとけば、紙で印刷してないことになるんか?」

 

本当ですね。わけがわからないというお気持ちはごもっともです。

 

 

電帳法施行規則2条2項
法第四条第一項の規定により国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えようとする保存義務者は、次に掲げる要件(当該保存義務者が第五条第五項第一号に定める要件に従って当該電磁的記録の備付け及び保存を行っている場合には、第三号に掲げる要件を除く。)に従って当該電磁的記録の備付け及び保存をしなければならない。
 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に併せて、次に掲げる書類(当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理に当該保存義務者が開発したプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項及び第六項第五号において同じ。)以外のプログラムを使用する場合にはイ及びロに掲げる書類を除くものとし、当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理を他の者(当該電子計算機処理に当該保存義務者が開発したプログラムを使用する者を除く。)に委託している場合にはハに掲げる書類を除くものとする。)の備付けを行うこと。
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システム(電子計算機処理に関するシステムをいう。以下同じ。)の概要を記載した書類
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システムの開発に際して作成した書類
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システムの操作説明書
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理並びに当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続を明らかにした書類(当該電子計算機処理を他の者に委託している場合には、その委託に係る契約書並びに当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続を明らかにした書類)
 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をする場所に当該電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、当該電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるようにしておくこと。
 国税に関する法律の規定による当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしておくこと。
電帳法施行規則2条3項
法第四条第二項の規定により国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該国税関係書類の保存に代えようとする保存義務者は、次に掲げる要件(当該保存義務者が当該電磁的記録の記録事項の検索をすることができる機能を確保して当該電磁的記録の保存を行っている場合には、第三号に掲げる要件を除く。)に従って当該電磁的記録の備付け及び保存をしなければならない。
 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に併せて、次に掲げる書類(当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理に当該保存義務者が開発したプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項及び第六項第五号において同じ。)以外のプログラムを使用する場合にはイ及びロに掲げる書類を除くものとし、当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理を他の者(当該電子計算機処理に当該保存義務者が開発したプログラムを使用する者を除く。)に委託している場合にはハに掲げる書類を除くものとする。)の備付けを行うこと。
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システム(電子計算機処理に関するシステムをいう。以下同じ。)の概要を記載した書類
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システムの開発に際して作成した書類
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システムの操作説明書
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理並びに当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続を明らかにした書類(当該電子計算機処理を他の者に委託している場合には、その委託に係る契約書並びに当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続を明らかにした書類)
 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をする場所に当該電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、当該電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるようにしておくこと。
 国税に関する法律の規定による当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしておくこと。

電帳法施行規則2条6項

法第四条第三項の規定により国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該国税関係書類の保存に代えようとする保存義務者は、次に掲げる要件(当該保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合には、第六号(ロ及びハに係る部分に限る。)に掲げる要件を除く。)に従って当該電磁的記録の保存をしなければならない。
 次に掲げる方法のいずれかにより入力すること。
 当該国税関係書類に係る記録事項の入力をその作成又は受領後、速やかに行うこと。
 当該国税関係書類に係る記録事項の入力をその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行うこと(当該国税関係書類の作成又は受領から当該入力までの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る。)。
 前号の入力に当たっては、次に掲げる要件(当該保存義務者が同号イ又はロに掲げる方法により当該国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認することができる場合にあっては、ロに掲げる要件を除く。)を満たす電子計算機処理システムを使用すること。
 スキャナ(次に掲げる要件を満たすものに限る。)を使用する電子計算機処理システムであること。
(1) 解像度が、日本産業規格(産業標準化法(昭和二十四年法律第百八十五号)第二十条第一項(日本産業規格)に規定する日本産業規格をいう。以下同じ。)Z六〇一六附属書AのA・一・二に規定する一般文書のスキャニング時の解像度である二十五・四ミリメートル当たり二百ドット以上で読み取るものであること。
(2) 赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ二百五十六階調以上で読み取るものであること。
 当該国税関係書類の作成又は受領後、速やかに一の入力単位ごとの電磁的記録の記録事項に総務大臣が認定する時刻認証業務(電磁的記録に記録された情報にタイムスタンプを付与する役務を提供する業務をいう。)に係るタイムスタンプ(次に掲げる要件を満たすものに限る。以下この号並びに第四条第一項第一号及び第二号において「タイムスタンプ」という。)を付すこと(当該国税関係書類の作成又は受領から当該タイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合にあっては、その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに当該記録事項に当該タイムスタンプを付すこと)。
(1) 当該記録事項が変更されていないことについて、当該国税関係書類の保存期間(国税に関する法律の規定により国税関係書類の保存をしなければならないこととされている期間をいう。)を通じ、当該業務を行う者に対して確認する方法その他の方法により確認することができること。
(2) 課税期間(国税通則法第二条第九号(定義)に規定する課税期間をいう。第五条第二項において同じ。)中の任意の期間を指定し、当該期間内に付したタイムスタンプについて、一括して検証することができること。
 当該国税関係書類をスキャナで読み取った際の次に掲げる情報(当該国税関係書類の作成又は受領をする者が当該国税関係書類をスキャナで読み取る場合において、当該国税関係書類の大きさが日本産業規格A列四番以下であるときは、(1)に掲げる情報に限る。)を保存すること。
(1) 解像度及び階調に関する情報
(2) 当該国税関係書類の大きさに関する情報
 当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項について、次に掲げる要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムであること。
(1) 当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
(2) 当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと。
 当該国税関係書類に係る記録事項の入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと。
 当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項と当該国税関係書類に関連する法第二条第二号に規定する国税関係帳簿の記録事項(当該国税関係帳簿が、法第四条第一項の規定により当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えられているもの又は法第五条第一項若しくは第三項の規定により当該電磁的記録の備付け及び当該電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えられているものである場合には、当該電磁的記録又は当該電子計算機出力マイクロフィルムの記録事項)との間において、相互にその関連性を確認することができるようにしておくこと。
 当該国税関係書類に係る電磁的記録の保存をする場所に当該電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、映像面の最大径が三十五センチメートル以上のカラーディスプレイ及びカラープリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、当該電磁的記録をカラーディスプレイの画面及び書面に、次のような状態で速やかに出力することができるようにしておくこと。
 整然とした形式であること。
 当該国税関係書類と同程度に明瞭であること。
 拡大又は縮小して出力することが可能であること。
 国税庁長官が定めるところにより日本産業規格Z八三〇五に規定する四ポイントの大きさの文字を認識することができること。
 当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項の検索をすることができる機能(次に掲げる要件を満たすものに限る。)を確保しておくこと。
 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先(ロ及びハにおいて「記録項目」という。)を検索の条件として設定することができること。
 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。
 第二項第一号の規定は、法第四条第三項の規定により国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該国税関係書類の保存に代えようとする保存義務者の当該電磁的記録の保存について準用する。
(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
第四条 法第七条に規定する保存義務者は、電子取引を行った場合には、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を、当該取引情報の受領が書面により行われたとした場合又は当該取引情報の送付が書面により行われその写しが作成されたとした場合に、国税に関する法律の規定により、当該書面を保存すべきこととなる場所に、当該書面を保存すべきこととなる期間、次に掲げる措置のいずれかを行い、第二条第二項第二号及び第六項第六号並びに同項第七号において準用する同条第二項第一号(同号イに係る部分に限る。)に掲げる要件(当該保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合には、同条第六項第六号(ロ及びハに係る部分に限る。)に掲げる要件(当該保存義務者が、その判定期間に係る基準期間における売上高が千万円以下である事業者である場合であって、当該要求に応じることができるようにしているときは、同号に掲げる要件)を除く。)に従って保存しなければならない。
 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプが付された後、当該取引情報の授受を行うこと。
 次に掲げる方法のいずれかにより、当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すとともに、当該電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと。
 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すことを当該取引情報の授受後、速やかに行うこと。
 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すことをその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行うこと(当該取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る。)。
 次に掲げる要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムを使用して当該取引情報の授受及び当該電磁的記録の保存を行うこと。
 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと。
 当該電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと。
 前項及びこの項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 事業者 個人事業者(業務を行う個人をいう。以下この項において同じ。)及び法人をいう。
 判定期間 次に掲げる事業者の区分に応じそれぞれ次に定める期間をいう。
 個人事業者 電子取引を行った日の属する年の一月一日から十二月三十一日までの期間
 法人 電子取引を行った日の属する事業年度(法人税法第十三条及び第十四条(事業年度)に規定する事業年度をいう。次号において同じ。)
 基準期間 個人事業者についてはその年の前々年をいい、法人についてはその事業年度の前々事業年度(当該前々事業年度が一年未満である法人については、その事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間)をいう。
 法第七条に規定する保存義務者が、電子取引を行った場合において、災害その他やむを得ない事情により、同条に規定する財務省令で定めるところに従って当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明したときは、第一項の規定にかかわらず、当該電磁的記録の保存をすることができる。ただし、当該事情が生じなかったとした場合において、当該財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったと認められるときは、この限りでない。

(参考)令和6年1月1日以後の4条

 

第四条 法第七条に規定する保存義務者は、電子取引を行った場合には、当該電子取引の取引情報(法第二条第五号に規定する取引情報をいう。以下この項及び第三項において同じ。)に係る電磁的記録を、当該取引情報の受領が書面により行われたとした場合又は当該取引情報の送付が書面により行われその写しが作成されたとした場合に、国税に関する法律の規定により、当該書面を保存すべきこととなる場所に、当該書面を保存すべきこととなる期間、次に掲げる措置のいずれかを行い、第二条第二項第二号及び第六項第号並びに同項第号において準用する同条第二項第一号(同号イに係る部分に限る。)に掲げる要件(当該保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録の提示又は提出の要求(以下この項において「電磁的記録の提示等の要求」という。)に応じることができるようにしている場合には、同条第六項第号(ロ及びハに係る部分に限る。)に掲げる要件(当該保存義務者が、その判定期間に係る基準期間における売上高が千万円以下である事業者である場合又は国税に関する法律の規定による当該電磁的記録を出力することにより作成した書面で整然とした形式及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものの提示若しくは提出の要求に応じることができるようにしている場合であって、当該電磁的記録の提示等の要求に応じることができるようにしているときは、同号に掲げる要件)を除く。)に従って保存しなければならない。


新四条により、令和6年1月1日以後は、基準期間の売上高が5000万円以下である場合と電磁的記録控簿がある場合には検索機能が丸々要らなくなる。


電帳法の対象となる人はだれ?

保存義務者。

法人はもれなく該当する。

個人の場合、不動産・事業・山林所得者は青白問わず全員該当する。

個人の雑所得がある人は、前前年の収入が300万円を超える人だけが該当する。


電帳法7条関連の具体的アクション

(1)電子メールによりPDFを受領した             (2)HPからダウンロードしたPDF又はスクリーンショット   (6)FAX複合機により取得したPDF              (7)USBやDVD、CDなど記録媒体で取得したPDF

受領者側で訂正削除が可能なため、①タイムスタンプを付与するか、②事務処理規定に基づきデータを保存することが必要になる。

可視性を担保するためには、メールソフト上で閲覧できるだけでは十分ではないとされている。

(3)電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用(4)クレカの利用明細データ、Edy・Suica・Paypayなどの決済データ    がクラウド上に保存されているもの               (5)EDIシステムやサイト上で取引が完結するもの

データの訂正削除履歴が残るシステムまたはデータの訂正削除ができないシステムを利用して保存されていればそのままでよい。

しかし、訂正削除が可能で履歴も残らないということであれば、(1)(2)と同様となる。


保存期間はいずれにしても7年間であることに注意。

紙と電子と両方ある場合、オリジナルがどちらかを決めておこう。オリジナルを保存すれば足りる。例外として紙の内容が不十分で、電子データに補完的な内容が記録されている場合は両方保管ということになってしまう。ペイペイ決済で領収証を書いてもらったが、摘要欄が記載不十分でアウト!みたいなことにならないように注意してほしい。

 

クレカの明細は、決済を証明するものであって、費用の発生を証明する書類ではない。したがって、カードをきったときにもらうレシートも保存しなければならないことに注意しよう。クレカによるペイペイ決済などの場合には、クレカに履歴が残るから安心などと考えてはならないのだ。画面をスクショで取っておくか、レシートをきちんと保存する必要があるわけだ。スクショの内容で十分かどうかは検証してほしいが、レシートを取っておいたほうが安全だと思う。

 

消費税に関しては、インボイスの保存が必要となる場合が多々あると思われるので、別途注意すること。少額特例は消費税の特例であり、インボイスではなくても帳簿方式で仕入税額特例ができるというものだが、時限措置であると同時に法人税所得税には関係がないことにも注意が必要。

 

アマゾンなどのECサイトでの決済記録は、法人税所得税に関しては、電帳法7条により紙ではなく、デジタル保存する必要がある。消費税に関しては、決済の一覧表を印刷しても仕入税額控除できるが、法人税所得税を考えると結局デジタル保存をしないといけないということになろう。


従業員の立替払精算

従業員が会社の業務として立替払をした場合には、立替金精算書により会社の費用として取り込みつつ、立替金を返金することになる。この場合、従業員は、精算書にエビデンスとして電子データを印刷した紙を添付することが多いと思われるが、これによって経理事務をいったん完結させないとスムーズな精算ができないだろう。

ただ、この場合には、事後に電子データそのものを会社のデータ保存場所に取り込むか、従業員には7年間そのデータを保存し続けることを義務付けるかいずれかを行わないと保存がなされていないことにはなってしまう。また、複数場所に電子データが散らばって、出せと言われたときにまごつかないように、検索可能性を維持する工夫が必要となることにも注意しよう。


スマホしかあらへんで

パソコンもプリンタもないという方は、違反になるのか、という質問に対して、令和5年6月の一問一答では「近隣の有料プリンタ等により税務職員の求めに応じて速やかに出力するなどの対応ができれば差し支えありません」とされている。コンビニのプリンタでよいと。

 

検索機能の確保と事務処理規程は必要なので、注意しよう。

ただし、基準期間の売上高が5000万円以下の場合、または出力書面を整理したものを提出できる場合には、検索機能の確保が不必要となる。

 

結局のところ、

①電子データの格納

②見読可能装置

③検索機能または電磁的記録控簿

④事務処理規程

の4つがあれば問題ないということになる。

 

バックアップは法律上の要件ではないが、データがなくなった場合には自己責任となるから、取っておいたほうが賢明。

事務処理規程

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自社発行の電子請求書の保存

電子取引を行った場合には、電磁的記録を保存しろという電帳法7条は、もちろん自社発行の場合にも適用されると解される。

だが、取引情報に係る電磁的記録というのは、内容が電磁的に保存されていなければならないというものであるから、そのままPDFでとっておかなければならないということではない。

通常は、販売管理ソフトなどに、取引情報が入力されていて、それが電子請求書に記載されているはずなのだから、販売管理ソフトにデジタル保存されている内容で十分なのである。したがって、電帳法7条のそのまま保存というのは、他社作成の電子データに限られるということである。

 

注意事項としては、販売管理ソフトから出力した請求書に取引情報を追加してしまうと「一貫して作成」したことにならず、電子保存ができない。スキャナー保存は可能である。

ちなみに、印刷したものに代表者印を押印する程度の改変であれば、「取引情報」の改変ではないため、印のない電子情報のままの保存が可能である(Q&A問25)。

 

もちろん、税務署から先方に提供したフォーマットで見せてくれ、と言われることはあるので、その際には再発行して見せればよい。

検索機能について

電磁的記録控簿を作成しているか、基準期間の売上高が5000万円以下の場合には検索機能を必要としていないわけだが、仮に検索機能が必要とされる場合には、どのような基準を満たさなければならないかということを確認してみよう。

 

①取引年月日などの日付、取引金額、取引先を検索条件として設定できる。

②日付と金額は範囲指定ができる。

③複数条件で検索ができる。

 

ということになっている。通常、税務署に出せと言われて出せるようになっているということであれば、②と③がいらないということになっているので、とにかく「日付」「金額」「取引先」を検索できればよい。

 

したがって、保存する際に、事業年度ごとにフォルダーを作り、その中に得意先仕入先のフォルダーを作り、ファイル名に令和6年1月のようにしておけば、中小企業のレベルでは開いた瞬間にファイルが特定されてしまうのではないかと思われる。金額検索ができていないじゃないか、と言う意地悪はさすがに言わないのではないだろうか。

ファイル名自体に「日付_金額_取引先名」とつけるか、EXCELで索引簿をつけろという指導がなされているが、かなり面倒くさい。

やはり中小のレベルでは、検索機能を捨てて、電磁的記録の控簿を作成しておいたほうが簡単だし、今までとの差が少なく取り組みやすいといえよう。

 

令和5年12月31日までの取引については、基準期間の売上高が1000万円以下ということになっているので、紙で印刷しておいたほうが無難である。

 

ちなみに、基準期間の売上高という言葉は、消費税法上の基準期間の課税売上高とは似て非なるもので、雑収入や固定資産売却収入などを含まない。個人の場合、家事消費を含まないとされている(Q&A問45)。譲渡所得も入らないと思われるが、山林所得と不動産所得は入るとされている。基準期間の売り上げがない場合ももちろん5000万円以下ということになる。

電磁的記録控簿

これは私の造語であることを事前に断っておこう。

法分上は、「電磁的記録を出力した書面であって、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたもの」と規定されている。

何せ、保存しなければならないのであるが、それを検索するくらいならただただ放り込んでおいて、いちいち印刷したものを綴っておけばよいのだ。整理されていなければならないから、月ごと、あるいは相手ごとにファイルされていればよい。

タイムスタンプ・時刻認証業務?

電子データがある時点に存在していたこと及び当該電子データがその時点から改ざんされていないことを証明するほうがタイムスタンプであり、確実かつ安定的なタイムスタンプの利用を一層拡大し、情報の信頼性を確保しつつ、海外とのデータ流通を容易にする観点から、時刻認証業務(電子データに係る情報にタイムスタンプを付与する役務を提供する業務)について、総務大臣による認定制度が設けられています。

電帳法認証ソフトウェアの確認

JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)の認証があるものが安全である。

電子データ改ざんの重加算税

隠ぺい仮装行為は重加算税の対象となるが、電子データ改ざんによるものは10%加重されることになる。

法人税・所得税→電帳法8条5項

消費税→59条の2

過去の書類について

電帳法施行規則2条9項より引用して加工
過去分重要書類に記載されている事項を電磁的記録に記録する場合において、あらかじめ適用届出書を納税地等の所轄税務署長等に提出したときは、当該電磁的記録の保存に併せて、当該電磁的記録の作成及び保存に関する事務の手続を明らかにした書類(当該事務の責任者が定められているものに限る。)の備付けを行うことにより、当該過去分重要書類に係る電磁的記録の保存をすることができる。この場合においては、次の二から七の要件を満たすこと。
二 次に掲げる要件(当該保存義務者が同号イ又はロに掲げる方法により当該国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認することができる場合にあっては、ロに掲げる要件を除く。)を満たす電子計算機処理システムを使用すること。
 スキャナ(次に掲げる要件を満たすものに限る。)を使用する電子計算機処理システムであること。
(1) 解像度が、日本産業規格(産業標準化法(昭和二十四年法律第百八十五号)第二十条第一項(日本産業規格)に規定する日本産業規格をいう。以下同じ。)Z六〇一六附属書AのA・一・二に規定する一般文書のスキャニング時の解像度である二十五・四ミリメートル当たり二百ドット以上で読み取るものであること。
(2) 赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ二百五十六階調以上で読み取るものであること。
 当該国税関係書類をスキャナで読み取る際に、一の入力単位ごとの電磁的記録の記録事項に総務大臣が認定する時刻認証業務(電磁的記録に記録された情報にタイムスタンプを付与する役務を提供する業務をいう。)に係るタイムスタンプ(次に掲げる要件を満たすものに限る。以下この号並びに第四条第一項第一号及び第二号において「タイムスタンプ」という。)を付すこと。
(1) 当該記録事項が変更されていないことについて、当該国税関係書類の保存期間(国税に関する法律の規定により国税関係書類の保存をしなければならないこととされている期間をいう。)を通じ、当該業務を行う者に対して確認する方法その他の方法により確認することができること。
(2) 課税期間(国税通則法第二条第九号(定義)に規定する課税期間をいう。第五条第二項において同じ。)中の任意の期間を指定し、当該期間内に付したタイムスタンプについて、一括して検証することができること。
 当該国税関係書類をスキャナで読み取った際の次に掲げる情報保存すること。
(1) 解像度及び階調に関する情報
(2) 当該国税関係書類の大きさに関する情報
 当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項について、次に掲げる要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムであること。
(1) 当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
(2) 当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと。
 当該国税関係書類に係る記録事項の入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと。
 当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項と当該国税関係書類に関連する法第二条第二号に規定する国税関係帳簿の記録事項(当該国税関係帳簿が、法第四条第一項の規定により当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えられているもの又は法第五条第一項若しくは第三項の規定により当該電磁的記録の備付け及び当該電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えられているものである場合には、当該電磁的記録又は当該電子計算機出力マイクロフィルムの記録事項)との間において、相互にその関連性を確認することができるようにしておくこと。
 当該国税関係書類に係る電磁的記録の保存をする場所に当該電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、映像面の最大径が三十五センチメートル以上のカラーディスプレイ及びカラープリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、当該電磁的記録をカラーディスプレイの画面及び書面に、次のような状態で速やかに出力することができるようにしておくこと。
 整然とした形式であること。
 当該国税関係書類と同程度に明瞭であること。
 拡大又は縮小して出力することが可能であること。
 国税庁長官が定めるところにより日本産業規格Z八三〇五に規定する四ポイントの大きさの文字を認識することができること。
 当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項の検索をすることができる機能(次に掲げる要件を満たすものに限る。)を確保しておくこと。
 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先(ロ及びハにおいて「記録項目」という。)を検索の条件として設定することができること。
 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。
 第二項第一号の規定は、法第四条第三項の規定により国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該国税関係書類の保存に代えようとする保存義務者の当該電磁的記録の保存について準用する。➡システム操作説明書と事務要領のこと
10 前項の保存義務者は、同項の規定の適用を受けようとする過去分重要書類につき、所轄外税務署長がある場合において、当該所轄外税務署長がその便宜とする事情について相当の理由があると認めたときは、当該所轄外税務署長を経由して、その便宜とする事情の詳細を記載した適用届出書を当該所轄税務署長等に提出することができる。この場合において、当該適用届出書が所轄外税務署長に受理されたときは、当該適用届出書は、その受理された日に所轄税務署長等に提出されたものとみなす。
11 第九項の規定により過去分重要書類に係る電磁的記録の保存をする保存義務者が、災害その他やむを得ない事情により、法第四条第三項前段に規定する財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができないこととなったことを証明した場合には、第九項の規定にかかわらず、当該電磁的記録の保存をすることができる。ただし、当該事情が生じなかったとした場合において、当該財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができないこととなったと認められるときは、この限りでない。