電帳法第4条

1 保存義務者は、国税関係帳簿(財務省令で定めるものを除く。以下この項、次条第1項及び第3項並びに第8条第1項及び第4項において同じ。)の全部または一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、財務省令で定めるところにより当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えることができる。

電子帳簿を採用する場合の必要事項(規則2条2項)

 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に併せて、次に掲げる書類(当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理に当該保存義務者が開発したプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項及び第六項第五号において同じ。)以外のプログラムを使用する場合にはイ及びロに掲げる書類を除くものとし、当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理を他の者(当該電子計算機処理に当該保存義務者が開発したプログラムを使用する者を除く。)に委託している場合にはハに掲げる書類を除くものとする。)の備付けを行うこと。
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システム(電子計算機処理に関するシステムをいう。以下同じ。)の概要を記載した書類
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システムの開発に際して作成した書類
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システムの操作説明書
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理並びに当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続を明らかにした書類(当該電子計算機処理を他の者に委託している場合には、その委託に係る契約書並びに当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続を明らかにした書類)
 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をする場所に当該電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、当該電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるようにしておくこと。
 国税に関する法律の規定による当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしておくこと。

解説

わかりにくいのだが、「国税関係帳簿の全部または一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、紙の保存が必要ない。」というのである。

一部でもよい。だから、給与台帳だけは、電子帳簿(給与ソフト)ですとか、得意先元帳だけは電子帳簿(販売管理ソフト)ですとかはありうる。会計ソフトで全部大丈夫ということは必ずしも言えない。みなさん、会計ソフトの入力は、販売管理ソフトの合計額を入力したり、給与台帳の合計額だけで入力したりされるから、会計ソフトの入力はけっこう網羅性に欠けているのである。

会計について電子帳簿を採用される際には、給与や固定資産や販売管理なども一緒にされるほうが安全である。

給与だけは電子帳簿ですというのは、成り立つので、導入は比較的簡単である。

しかし、総勘定元帳や仕訳帳までを電子帳簿にするのは、しっかりと態勢を整えてからである。

ケチをつけやすい仕組みだと、元も子もない。

具体的に何をすればいいの?

市販の会計ソフトを使用している場合には、ハの操作説明書とニの帳簿事務要領の備付が必要ということになる。

自社開発の会計ソフトの場合には、イシステム概要書、ロ開発概要書、ハ操作説明書、ニ帳簿事務要領。

他社に記帳代行を依頼している場合には、操作説明書が不要。

いずれにしても、パソコン本体と説明書付きの出力装置(画面とプリンタ)を常備し、使用可能にしておくことが求められる。

事務要領に関しては、データの入力と保存に関する内容が予定されていると考えられる(電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続き)。したがって、内容としては、担当者、管理者がいて、ソフトウェアが存在し、データがきたら入力がおこなわれ、入力・削除・訂正について最終的に管理者による確認がなされたものが保存されているという内容となる。

保存されている電子データの訂正削除に関しては、別途事務処理規程があるので参照のこと。一体の書類としてもかまわない。

操作説明書は、オンラインマニュアルやヘルプで構わない。

サーバーが海外に存在していてもよいし、クラウドでもよい。

普通の中小企業レベルでいくと、システムの説明書はオンラインで見れるから、①帳簿事務要領、②モニター、③いつでも出せる状態の三つの要件が備われば電子帳簿は実現可能であると考えられる。

単式簿記で作られた帳簿は財務省令(施行規則2条1項)で除外されているため、電子帳簿にできるのは複式簿記に従って作成されている帳簿のみである。したがって、白色申告の場合には、貸借対照表があるかどうかが鍵となる。

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優良帳簿

あらかじめ税務署長等に届出が必要ではあるが、内容は次のようなもの

真実性要件 訂正削除に関する対応

相関性要件 エビデンスと記録の照合が取れている

可視性要件 検索機能(日付・取引先・金額による検索が可能なこと)

当たり前なことだけだが、つねに維持されていなければならない。

 

ざっくりいうと、市販の会計ソフトの電子帳簿モードにしておけば、優良帳簿になると思われる。

 

まとめると帳簿事務要領を決め、パソコンプリンター(オンラインマニュアル)に会計ソフトがインストールされてデータが入力されており、データを出せと言われたら出す(帳簿事務要領に書いておいてもよい)つもりになっていれば電子帳簿を採用でき、

さらに、電子帳簿モードに設定しておくと、優良帳簿になるというイメージである。

 

注意点!

 

「会計のみ電子帳簿にするつもりだから、販売管理はソフトを使っているけど電子帳簿にしなくていいんじゃないか。」

 という意見があるが、販売管理を使っている方は得意先元帳を会計ソフトでなく販売管理ソフトを使っていたりしないだろうか。

売掛帳が仕訳帳や総勘定元帳には詳細記録されていないということだと、電子帳簿の内容不十分ということになり、電子帳簿としてみとめないとQ&Aの問19に記載してある。もちろん優良であるわけがないとも。給与台帳も同様で、給与ソフトを使用している場合、仕訳帳には月ごとの給与合計しか記載されていないことが多い。この場合も会計ソフトだけ電子帳簿にするのはできないことになる。

このように特殊仕訳帳を使用しているクライアントの場合、まとめて全部電子帳簿にしなければ通らないということを覚えておこう。

電子帳簿ではないということになると、紙で全部印刷しなければならないということになる。

あるいは、面倒だが、販売管理や給与ソフトの全仕訳を会計帳簿に取り込むか。

仕訳が集計でしか入っていない場合には、個別取引のデータとの相関性に欠けるため、優良帳簿にはならないとのこと(Q&A問19)。

 

そのうち、国税庁も折れてくれるような気もしなくはないが、少し厳しすぎやしないか。

帳簿事務要領を自分で作成したのだが、これでいけば、エビデンスとデータの相関性は、入力段階で確認してある。

仮に、会計ソフトが電子帳簿で、合計仕訳しか入っていないとしても、給与ソフトや販売管理で個別取引までたどれるではないか。

そして、会計ソフトなので、検索は可能だし、訂正削除もシステム上履歴が残ることになっている。もちろん、削除は原則禁止である。

いったい何が問題なのだろうか。

 

 

マイクロフィルムはさらにハードルが少し上がるが、ここでは省略している。

 

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1週間以内の訂正・削除は履歴を残さなくてもよいと定められている(取扱通達8-10)。

月次決算を行い、月次単位でデータを保存することにより追加入力があった場合でもその事実を確認できるので、訂正履歴を残しているとして認められる(Q&A問28)。

記帳代行業者に会計処理を委託している場合でも、「自己が作成」していることには相違ない(取扱通達4-3)。しかし、帳簿の保存場所が自社でないということは認められないし、ディスプレイ等の出力が自社でできないということになると電子帳簿の要件を満たさなくなる(Q&A問20)。年一関与の決算を記帳代行にする場合には電子帳簿にはならないということだ。

また、電子帳簿の保存様式がPDFの場合には、文字を埋め込んだタイプのPDFでないと検索できないことになるので、「ダウンロードの求めに応じることができるようにしているとは認めない」とされることに注意(Q&A問22)。

電帳法8条 抄
 次に掲げる国税関係帳簿であって財務省令で定めるものに係る電磁的記録の備付け及び保存又は当該電磁的記録の備付け及び当該電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存が、国税の納税義務の適正な履行に資するものとして財務省令で定める要件を満たしている場合における当該電磁的記録又は当該電子計算機出力マイクロフィルムに記録された事項に関し修正申告等があった場合において、同法第六十五条(過少申告加算税)の規定の適用があるときは、同条の過少申告加算税の額は、同条の規定にかかわらず、同条の規定により計算した金額から当該過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に百分の五の割合を乗じて計算した金額を控除した金額とする。ただし、その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されたものがあるときは、この限りでない。
 第四条第一項の規定により国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えている保存義務者の当該国税関係帳簿
 第五条第一項又は第三項の規定により国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び当該電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えている保存義務者の当該国税関係帳簿

特例国税関係帳簿(青色申告の方の帳簿・消費税課税事業者の帳簿を指す)の備付け及び保存が、優良帳簿の要件を満たしている場合、その内容について修正申告等によって過少申告加算税が賦課される場合であっても、隠蔽仮装があった場合でなければ、通常10%かかる加算税が5%に減額されるということになる。更正予見でなければ過少申告加算税がゼロになる可能性もある。納税額が50万円を超える部分も、通常は15%のところ、10%になるわけだ。

帳簿に関連のない非違(個人の一時所得や保険料控除、寄付金控除、扶養控除などの非違)は軽減措置の対象外となる。

 

あらかじめ届出書を提出していないとだめです。

提出期限は、該当する期間の申告書の提出期限ということになりますので、申告書よりも先に出していないとその申告書に適用がないということになります。


電帳法施行規則 抜粋 特例国税関係帳簿とは
第五条 法第八条第四項に規定する財務省令で定める国税関係帳簿は、修正申告等の基因となる事項に係る特例国税関係帳簿とする。
    保存義務者が、あらかじめ、届出書を納税地等の所轄税務署長等に提出している場合における当該特例国税関係帳簿に限る。
 届出に係る特例国税関係帳簿の種類
 届出者の氏名又は名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地及び法人番号(法人番号を有しない者にあっては、氏名又は名称及び住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地)
 届出に係る特例国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存又は当該電磁的記録の備付け及び当該電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存をもって当該特例国税関係帳簿の備付け及び保存に代える日
 その他参考となるべき事項
*特例国税関係帳簿
所得税法施行規則第五十八条第一項(取引に関する帳簿及び記載事項)に規定する帳簿
法人税法施行規則第五十四条(取引に関する帳簿及び記載事項)に規定する帳簿
消費税法第三十条第七項(仕入れに係る消費税額の控除)、第三十八条第二項(売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除)、第三十八条の二第二項(特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除)及び第五十八条(帳簿の備付け等)に規定する帳簿
 やめようとするときは、あらかじめ、届出書を所轄税務署長等に提出しなければならない。この場合において、当該届出書の提出があったときは、その提出があった日の属する課税期間以後の課税期間については、前項の届出書は、その効力を失う。
 届出者の氏名又は名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地及び法人番号(法人番号を有しない者にあっては、氏名又は名称及び住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地)
 前項の届出書を提出した年月日
 その他参考となるべき事項
 変更をしようとする場合には、あらかじめ、届出書を所轄税務署長等に提出しなければならない。
 届出者の氏名又は名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地及び法人番号(法人番号を有しない者にあっては、氏名又は名称及び住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地)
 第一項の届出書を提出した年月日
 変更をしようとする事項及び当該変更の内容
 その他参考となるべき事項
 第二条第十項の規定は、前三項の届出書の提出について準用する。

電帳法施行規則五条から 優良帳簿令

 法第八条第四項に規定する財務省令で定める要件は、次の各号に掲げる保存義務者の区分に応じ当該各号に定める要件とする。
 法第八条第四項第一号に規定する保存義務者 次に掲げる要件(当該保存義務者が国税に関する法律の規定による当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合には、ハ((2)及び(3)に係る部分に限る。)に掲げる要件を除く。)
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理に、次に掲げる要件を満たす電子計算機処理システムを使用すること。
(1) 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
(2) 当該国税関係帳簿に係る記録事項の入力をその業務の処理に係る通常の期間を経過した後に行った場合には、その事実を確認することができること。
 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の記録事項と関連国税関係帳簿(当該国税関係帳簿に関連する第二条国税関係帳簿(法第二条第二号に規定する国税関係帳簿をいう。)をいう。ロにおいて同じ。)の記録事項(当該関連国税関係帳簿が、法第四条第一項の規定により当該関連国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該関連国税関係帳簿の備付け及び保存に代えられているもの又は法第五条第一項若しくは第三項の規定により当該電磁的記録の備付け及び当該電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存をもって当該関連国税関係帳簿の備付け及び保存に代えられているものである場合には、当該電磁的記録又は当該電子計算機出力マイクロフィルムの記録事項)との間において、相互にその関連性を確認することができるようにしておくこと。
 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の記録事項の検索をすることができる機能(次に掲げる要件を満たすものに限る。)を確保しておくこと。
(1) 取引年月日、取引金額及び取引先((2)及び(3)において「記録項目」という。)を検索の条件として設定することができること。
(2) 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
(3) 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。
 法第八条第四項第二号に規定する保存義務者 次に掲げる要件
 前号に定める要件
 第三条第一項第一号ロ(1)の電磁的記録に、前号イ(1)及び(2)に規定する事実及び内容に係るものが含まれていること。
 当該電子計算機出力マイクロフィルムの保存に併せて、国税関係帳簿の種類及び取引年月日その他の日付を特定することによりこれらに対応する電子計算機出力マイクロフィルムを探し出すことができる索引簿の備付けを行うこと。
 当該電子計算機出力マイクロフィルムごとの記録事項の索引を当該索引に係る電子計算機出力マイクロフィルムに出力しておくこと。

 

 当該国税関係帳簿の保存期間(国税に関する法律の規定により国税関係帳簿の保存をしなければならないこととされている期間をいう。)の初日から当該国税関係帳簿に係る国税の国税通則法第二条第七号(定義)に規定する法定申告期限(当該法定申告期限のない国税に係る国税関係帳簿については、当該国税の同条第八号に規定する法定納期限)後三年を経過する日までの間(当該保存義務者が当該国税関係帳簿に係る国税の納税者でない場合には、当該保存義務者が当該納税者であるとした場合における当該期間に相当する期間)、当該電子計算機出力マイクロフィルムの保存に併せて第二条第二項第二号及び前号ハに掲げる要件(当該保存義務者が国税に関する法律の規定による当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合には、同号ハ((2)及び(3)に係る部分に限る。)に掲げる要件を除く。)に従って当該電子計算機出力マイクロフィルムに係る電磁的記録の保存をし、又は当該電子計算機出力マイクロフィルムの記録事項の検索をすることができる機能(同号ハに規定する機能(当該保存義務者が国税に関する法律の規定による当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合には、同号ハ(1)に掲げる要件を満たす機能)に相当するものに限る。)を確保しておくこと。