株式会社の場合を記載したが、個人事業や合同会社などの他の形態でも類似する部分は多い。
株式会社は、定款を公証役場で認証をとって法務局で登記することによって成立する。印鑑証明とか登記簿謄本、という言葉が出てきたら、法務局に行って発行してもらうことができる。
法人には実際の体がないので、意思決定は役員(社長)がおこない、行動は社長が会社の名で実行することになる。社長は人事・総務・営業を総括し、社員たちを指揮命令することにより全体として一体感のある行動ができる。
この際、いちいち社長が指揮命令をすることもできないので、基本事項は規定を決めておくのである。
水色の□がいわゆる会計帳簿となる。
ファイルに耳たぶをつけて重要書類を保管するファイルを作りましょう。
(1)基礎資料
①定款
②登記簿謄本(全部事項証明書)
(2)株主関係
③株主台帳
(3)経理関係
④経理規定(事務要領と削除しない規程)
(4)人事社会保険労働保険
⑤社員名簿
⑥就業規則(あれば)
⑦賃金規定(あれば)
⑧旅費規程(あれば)
(5)議事録
⑨株主総会議事録
⑩役員会議事録
(6)設備関係
⑪固定資産台帳
⑫請負契約書・青写真・配管図など
①見えない
②向き合わない
③実行しない
④実行させられない
⑤足りない
①企業内部の可視化は必要。なぜって、データがなければ解決方法も浮かばないのだから。
帳簿をつけられない原因の一つは、取引を咀嚼できていないことであることが多い。
自分が何をしようとしているのか、何をしたのか、具体的に説明できないから帳簿をつけられないということはないか。
理解しないでビジネスを始めていないか。
②見たくないと思っていないか。帳簿をつけられないのは、厳しい現実から逃避しているということはないか。嫌なことから目を背けてないか。
③面倒くさい。役に立たない、と思いはまっていないか。帳簿をつけることは本当に無駄なことか。帳簿という姿見で自分の姿を鏡に映 すことが本当に要らないことか。勘ではなく、正確に会社のリソースを把握することが本当に不必要なことか。
④統制が取れない。部下を説得できないために、会社としての行動が制御できていないということはないか。
⑤リソースを十分に供給しているか。領収証をポケットに入れたまま放ったらかしになっていないか。給料をちゃんと払えているか。説明を経理にきちんとしているか。ルールを決めてあげたか。
①金庫や財布、レジなど、物理的な「現金」というものを設定する。そこに一定の残高を入れる。
入金は、赤い伝票に誰から何をいくらと走り書きしてお金と一緒にレジに入れる。
出金は、青い伝票に誰に何をいくらと走り書きして、レシートや領収書と一緒にホッチ・クリップなどで止めてお金と引き換えに入れ
る。
一日たったら、昨日の残高から赤い伝票を入金欄、青い伝票を出金欄に転記し、プラスマイナスすると今日の残高が出る。
実際の在り高と照合する。一致していれば仕事終わり。帳簿残高にチェックをつけて片付ける。
②仕入をする場合、現金で購入した場合には、①の出納帳に記載されているはず。納品書で購入したときは、買掛帳に仕入先名の補助をつけて、仕入を計上する。マメに品物の区分を分類すると、将来的に分析資料になるが、初心者は全部まとめて一行に書いてもよい。納品書は、個数を数えたりする検品作業が済んだら経理処理の資料となるのだ。綴っておけば、一行で書いてももしもの時は調べることもできる。
そうやって、毎日コツコツと書いていると、締め日の残高が相手からくる請求書の金額と一致しているはずだ。請求書が来る前に、いくら支払いが必要かが予測できる。
③売上については、レジを使用している場合には、一日まとめてレジ合計を売上としてよい。レジに入っているお金と照合して、一致していればレジミスもなかったわけだ。つり銭だけ残して別の場所に保管しよう。物騒な世の中だ。2,3日分をまとめて通帳に入金する。ざ・らーめん・オペレーションの項目を参考にしてほしい。
納品書請求書方式の売上については、納品書の控をコツコツ得意先別に売掛帳入力をする。締め日になるとその残高があなたが発行するべき請求書と一致している。消費税をつけて請求書を出そう。現金集金か、振り込みか、クレカ決済(ペイペイ決済などもある)すれば売掛金はゼロになる。
④給料は、固定給の人は給与明細で未払金というところに記載する。アルバイトの人は毎日雑給として入力してもよいし、出勤簿を数えて給与明細にするもよい。締め日に給与明細を発行し、支払日に未払金を決済することになる。給料は、支払の時に社会保険や雇用保険、源泉所得税、住民税などの天引きをして残額を支払う。締め日の仕訳と支払日の仕訳と二つあって面倒なのだが、振替伝票に一度仕訳入力を登録すると、翌月からはコピペで作れるのでらくだ。
⑤普通預金は、上記のように、現金を引き出した時、預け入れた時、振り込みを受けた時、支払をしたときに金額が動く。通帳があるので、帳簿に転記するのは比較的簡単だ。
⑥営業車両や機械、パソコンなど、固定資産を購入したときは、ちょっと難しい中級項目。先輩に教えてもらおう。これも一度振替伝票を作っておくとそんな難しいことではない。減価償却という手続きを勉強しよう。
⑦プライベートなお金で立て替えておいて、後で会社のお金と精算する立替精算がある。お客さんと飲みに行って、自分のカードで払ったとか、個人のETCカードを使って高速道路に乗ったとか。立替金精算書というフォーマットを作っておいて領収書などのエビデンスを貼り付けて精算して経費にしよう。
ほかにもいろいろあるが、そんなに難しいことではないので、全体としてすぐに慣れる。時間もさほどかからないようになる。ぜひ頑張ってみてほしい。
キャッシュフロー計算書はおもしろい。
期首にあったお金が営業で増え、投資で減り、借金の返済で減って、期末の残高になったというストーリーが概略で示されている。
どんぶり勘定ではあるが、どんなお金の使い方をしているかのヒントがわかるだろう。